気胸の症状の度合いは軽度、中度、重度の3段階で表されます。ここではその3段階における肺の状態や症状を詳しく説明していきます。ただ気胸は発症してから数日経過すると、肺が悪化していても胸痛や息苦しさが治まる傾向にあります。なので症状が軽くなった=気胸が治ってきたと短絡的に考えず、レントゲンで肺の状態を確認するようにして下さい。
軽度の気胸
鎖骨より上まで肺がある状態です。軽い息切れと胸や背中の痛みを伴いますが、日常生活に大きな支障はないため気付かないうちに治る事もよくあります。1週間程度で自然治癒するので特に治療は必要ありませんが、病院で数日様子を見て悪化傾向ならば入院とドレーン(胸腔内に管を通し、肺から漏れ出た空気を吸引する処置)を勧められます。
中度の気胸
鎖骨より下まで肺が縮んでしまった状態です。息切れと胸や背中の痛みを伴い、動作のスピードを落とさないと日常生活が送れません。階段を上ったりするとかなり息が上がります。また中度以上の気胸の場合、風邪をひいている訳でもないのに咳が出る事があります。この咳は肺から漏れ出た空気が胸膜を刺激する事により起こるようです。自然治癒なら2~3週間程度の長い安静が必要で、病院に行けば入院とドレーンを勧められます。
重度の気胸
肺が半分以下の大きさにまで縮んでしまった状態です。心臓や気管が圧迫され激しく痛みます。もし階段を上ろうものなら命の危機を感じるほどの呼吸困難に陥り、平地では腰の曲がったお年寄りにも付いていけません。さらに酷くなると肺は拳ほどの大きさまで縮み、漏れた空気の圧迫により心臓が移動し逆の肺にめり込みます(緊張性気胸)。自然治癒なら1ヶ月かかっても治る保証はなく、命に関わるので即入院が必要です。
補足
重度の気胸でも数週間ほど呼吸困難に耐え続ければ、肺が潰れたままでも普通に歩けるようになったり、胸の痛みがなくなる事があります。一見気胸が治ったかのように錯覚しますが、これは体が慣れてしまっただけであり大変危険な状態です。本当に命に関わります。自然治癒で気胸は治るんだと甘く見て、病院に行かず安易な自己判断をするのは絶対に止めて下さい。
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