今後気胸で胸腔鏡手術を受ける可能性がある人に向けて、私の体験談を交えながらより詳しく説明します。少しでも為になれば幸いです。
Q1全身麻酔ってどんな感じ?
私の場合点滴から麻酔薬を投与され、徐々に意識が朦朧として一瞬目を閉じたと思ったら手術は終了していました。正直「全身麻酔の手術ってこんなに楽なのか!」と思ったほどで、全身麻酔に関しては全く心配いりません。ただ人によっては術後発熱や吐き気などを催す人もいるようです。また手術前に唾液を止める薬を投与するので、手術から目が覚めると喉はカラカラの状態です。
Q2術後の痛みは?
術後は意識が戻ってから息苦しさや胸の痛みがありました。さらに脇腹にはドレーン、胸に心電図の吸盤、左腕に点滴、背中に痛み止めの管、股間に尿道カテーテル、両脚に血栓防止の着圧マシーンという有り様で寝返りは一切打てません。なので術後最初の夜は身動きできない状態で約8時間胸痛と息苦しさに耐えるという、気が狂うほど過酷な物でした。誇張ではなく、あの夜は人生最悪の夜だったと断言できます。まあ私の場合、両肺同時に手術をしたので余計に辛かったんだと思います。咳をすると胸や傷口が強く痛み、血痰も出ました。ただ術後最初の夜さえ乗り切ってしまえば痛みも徐々に和らいでいきますし、尿道カテーテルや着圧マシーン、心電図も外れるので、ドレーンによる処置のみの入院とさほど変わりません。
Q3退院後の痛みや後遺症は?
麻酔の影響でしばらく胸の感覚がないのが気になりましたが、私の場合特に後遺症はなく退院後の痛みも大した事はありませんでした。ドレーンによる処置のみの場合より若干痛いかな?という程度です。流石に退院直後は咳をしたり着替えをすると傷口が痛みましたが、2週間ほどで気にならなくなりました。ただ抜糸後でも再発していないのに痛みなどの細かい違和感が出る事があります。これは手術で体に穴をあけて内臓を切っている訳ですから、多少は仕方ありません。いずれ気にならなくなるでしょう。
Q4尿道カテーテルは痛い?
尿道カテーテルは全身麻酔中に入れるため、挿入時の痛みはありません。問題は意識が戻った後のカテーテルの感触とカテーテルを抜く時の痛みですが、私の場合カテーテルが入っている時は股間に違和感がある程度で痛みはありませんでした。ただカテーテルを抜く時は一瞬ピリッとしましたね。あとカテーテルを抜いた後の排尿は痛いとか血尿が出るというネットの噂を見て私はビクビクしていたのですが、最初の排尿でも痛みはありませんでした。ただ1つ驚いたのが、カテーテルを抜いた後の排尿で尿にブクブクと空気が混じっていた事です。しかし看護師によると「カテーテルを抜いた後はよくある事で全く心配いらない」らしく、杞憂に終わりました。
Q5手術の費用は?
私は両肺同時に手術を行ったため、通常より高い130万円ほどになりました。ですが私が加入している保険の高額療養費制度(1ヶ月間の医療費の自己負担限度額が決まっており、それを超えた場合は限度額までしか医療費を支払わなくて良い制度)により、実際に支払ったのは13万円ほどでした。ちなみに私の場合、入院中に月を跨いだ事と保険適用外の個室やテレビなどのオプション料金により、通常より高めの支払いとなっています。気胸は突然発症するため入院する時期を選ぶのは難しいですが、余裕があるなら月の初め頃に入院すると月を跨ぐ心配がないため医療費が安く済みます。
Q6病院選びのポイントは?
気胸センター、または呼吸器外科を有する大きな病院を選ぶと良いでしょう。なぜなら気胸は医師の腕や設備によって、処置の痛みと術後の再発率が異なるからです。例えば気胸センターを有する玉川病院では術後の再発率が3%ですが、普通の病院だと5~10%の再発率になります。その点で気胸センターや呼吸器外科の医師は胸腔鏡手術に慣れているので、安心して手術を受ける事ができます。ちなみに私は札幌南三条病院で手術をしてもらい、大変満足のいく治療を受ける事ができました。
Q7手術して良かった?
はい、大満足です。むしろ今となっては、もっと早く手術しておけば長く苦しまずに済んだのにと思います。しかし当時の私はなかなか手術に踏み切る事ができませんでした。運良く手術とは無縁の人生を歩んできたが故に、「歳をとれば気胸は落ち着くはずだ」と思い込み、手術の体験談などを読んでも他人事だと思って逃げていたんですね。しかし最初左肺だけの問題と思っていた物が右肺も気胸になり、再発を繰り返し結局両肺を手術するに至りました。私のこのような体験から知ってほしいのは、気胸は手術しない限り再発して当たり前の病気だという事です。特に22歳以下の若い人が気胸を発症した場合、手術なしの治療では再発しない方が珍しいのです。ですからブラという爆弾を抱えて不安な日々を過ごすくらいなら、手術した方が絶対に良いと断言します。ただ手術で再発の不安が完全に消える訳ではありませんし、僅かながらリスクも伴います。しかし再発率や不安が大幅に軽減される事も事実です。私のように再発を繰り返して苦しんだ末に手術するといった愚行を繰り返さないためにも、是非前向きに胸腔鏡手術を検討して頂きたいですね。
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